
台風が屋久島に直撃し、台風の目に入った時のワンシーン。
「台風と台風の目の際目ってどんな風景なんだろう」
いつも台風がやってくるとそんな思いに駆られては、見晴らしのいい場所に行きたくなったしまう性分で、この日は田代川の河口が真っ先に脳裏に浮かんだので、直感に従い車にカメラを積み込んで行ってみると、
川にも海にも白い泡が一面広がっていた。岸にも広範囲に打ち上げられていた。
「まるで雲の上にいるみたいだな」
この泡の正体はプランクトンの死骸や海藻の粘液で「波の花」と呼ばれている。日本海では11月~2月の冬の間に起きる現象のようで、いくつかの条件が重ならないと起きないそう。気温は0℃以下。時間は早朝がベスト。北北西または北からの風で風速は13m/s以上。波の高さは4m以上。こんな条件がそろうと、岩に叩きつけられたプランクトンや海藻の粘膜の粘りが強くなってアワとなるようだ。
撮影した時期はまだ暑い夏の時期、風も南風。後にも先にも屋久島で波の花に出会ったのはこの1回限りだ。
ぱっと見は静止しているアワたち。スローシャッターで切ると面白い動きをしていることに気づき、何度も場所を変えて撮影していると、一箇所渦を巻いている場所「アワの目」があった。宇宙から地球を見たとき、台風の目はこんな風景なのかな。
今回も実際の台風の目の境目は見ることができなかったけど、宇宙から台風を見下ろしているかのような不思議な光景に、大満足で雲上の世界を後にした。
旅はいつも予定通りはいかないけれど、想定外のワクワクドキドキをいつも僕らに用意してくれている。明日も心がひらめいた場所へ。
